ふたり

SOL042008-09-12

柴田淳『親愛なる君へ』より、「ふたり」。

この曲は、アルバムが発売される一か月前、今年の5月に先行発売された
シングルです。彼女にとって、16枚目のシングル作品になります。

「ふたり」でいながら、いや、「ふたり」でいるからこその不安。
「ふたり」の間のどうしようもない距離感。
どうしようもないからこそ、深く愛してしまう。

♪なぜこんなにそばにいるのに 辛いだけなの?〜

どうしようもないからこそ、離れることなんてきっとできない。

本格的な恋をまだ知らない頃は、ふたりになればそれで幸せなんだと思ってた。
でも、実際は違う。どんなに「ふたり」になろうとも、「ふたり」が「ひとり」になることなんて
できないのだから。
しばじゅん独特の、シニカルな、そして皮肉でかなりひねりが効いた歌詞。
言葉はシンプルでありながら、恋愛の現実を鋭くえぐっている。
相変わらずさえまくっています。

この曲では、ボーカリストしばじゅんの魅力のひとつである、ファルセットボイスは地味に
控え目にしか聞こえません。。
最初から最後までほとんど地声で歌われているのですね。
とても素直なメロディーであります。
構成も、ここからさびで聴かせよう、とかそういう意図的なものがあまり感じられず、シンプルに
流れていくような感じ。それでいて、もちろんフックというか、引きの強さはあるのですが。

この曲のシンプルなよさを、さらにシンプルにあぶりだそうという意図から、アレンジャーの
羽毛田丈史はピアノのみのアレンジに仕上げています。
羽毛田氏の存在を知ったのは98年から99年の太田裕美のミニアルバムでの活躍からでした。
それから鬼束ちひろの一連の作品で大ブレイクすることになりますが、鬼束がスランプ期に入り、
作品が出なくなったころから、柴田淳作品で活躍するようになりました。
最近のアレンジャーで最も好きな人だけに、これからもしばじゅんをサポートし続けてほしい人ですね。

http://jp.youtube.com/watch?v=YswdQFpIxGk